前回Vol.58の最後に予告した「年に1回だけ届く、断れない封筒」——固定資産税の話です。
電気代は屋根と蓄電池で守れました。ローンは借り換えで削れました。でも固定資産税だけは、節約も、プラン変更も、乗り換えも、一切効きません。家を持っているという事実だけに、毎年課される請求です。うちの8年は、新築の軽減がある1〜3年目が年約13万〜13.5万円、軽減が切れた4年目に約19万円へ跳ね上がり(私はここで封筒を二度見しました)、以降は微減しながら8年累計で約130〜135万円規模(いずれも著者の記憶ベース・概算)。「安い3年」をずっと続く水準だと勘違いして家計を組んでいた私の失敗ごと、8年分すべて開示します。
⚠️ はじめに:本記事の税額はすべて著者宅(埼玉県内・土地3,000万・建物2,250万で購入)の記憶に基づく概算の一例であり、税務アドバイスではありません。固定資産税は自治体・評価額・土地建物の条件で大きく変動します。制度の詳細・ご自身の税額は、お住まいの自治体や税理士等の専門家にご確認ください。
🐶 シートラ:富士住建で埼玉県内に家を建築。チワワ3匹・爬虫類・水亀と暮らす入居8年目の施主。土地3,000万・建物2,250万・太陽光350万=総額5,600万の家に、毎年届く固定資産税の納税通知書8年分を記憶ベースで棚卸しする。4年目の封筒を二度見した張本人。
🧚 ふじまる:番外編でも容赦しない妖精。今回は「軽減済みの“安い年”だけ見せる手口を許さない役」。「1年目の13万だけ見せて『意外と安い』って言うつもりじゃないよね?」「跳ねた4年目の封筒から先に出して」「で、家計はどっちの額で組んでたの?」と、税額開示の“いいとこ取り”を締め上げる。
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この番外編で、私はお金の話を3本書いてきました。ローンは借り換えという「攻め」で月2.4万円削った(Vol.56)。売電は屋根が8年で約144万円「稼いだ」(Vol.57)。電気代は時間差の使い分けという「守り」で高騰期をしのいだ(Vol.58)。どれも、工夫の余地があるお金でした。比較して、乗り換えて、設備で守る。手を動かせば数字が動く。だから記事にも張り合いがありました。
固定資産税は、違います。毎年春、市役所から分厚い封筒が届きます。中には納税通知書と振込用紙。そこに書かれた金額に対して、私にできることは「期日までに払う」以外、何ひとつありません。相見積もりは取れない。プラン変更もない。「今年は使用量を減らしたので安くしてください」も通じない。電気代なら暖房を我慢すれば下がりますが、固定資産税は家を持っているという事実そのものに課されるので、暮らしぶりと無関係に、決まった額が来ます。言うなれば、解約ボタンのないサブスク。しかも退会する方法はただひとつ、家を手放すことだけです。
ここで白状すると、8年前の私は固定資産税を「家を買ったら付いてくる、なんとなくの出費」程度にしか考えていませんでした。ローンの金利は0.01%単位で比較したのに、毎年何十年も払い続ける税金のほうは、営業さんの「初年度はだいたいこれくらいですね」という一言を、そのまま予算表に写しただけ。その「初年度の額」に魔法がかかっていることを、私は知らなかったのです。魔法が解けたのは、入居4年目の春でした。
入居して1〜3年目、うちの固定資産税(都市計画税込み)は年間で約13万〜13.5万円でした。4期に分ければ1回3万円台。「月1万円ちょっと」という予算表の1行と、だいたい合っています。私は3年間、封筒が届くたびに金額をちらっと確認して、「うん、想定通り」と振込用紙を冷蔵庫に貼っていました。この金額がずっと続くものだと、疑いもせずに。
4年目の春。いつものように封筒を開けて、いつものように合計額に目をやって——私は視線を数字の上で二往復させました。約19万円。前の年より、およそ5万5,000円高い。最初に思ったのは「印刷ミスでは」でした。次に思ったのは「何か申告を忘れて追徴されたのでは」。喉の奥がひゅっと小さく鳴って、私は前年の通知書を引っ張り出し、2枚を食卓に並べました。土地の欄は、ほぼ同じ。変わっていたのは建物の欄——正確には、前年まであった「減額」の記載が、消えていたのです。
後から調べて分かったのですが、これは新築住宅に対する固定資産税の減額措置という、れっきとした全国共通の制度でした。新築の住宅は、一定の床面積要件などを満たすと、新たに課税される年度から3年度分(マンション等は5年度分、長期優良住宅は期間が延びる)、建物分の固定資産税が2分の1に減額される——床面積120㎡相当分までという上限つきで(詳細は下の出典をご確認ください)。つまりうちの「年13万円台」は、建物の税金が半額になっていた期間限定価格。4年目の約19万円のほうが、この家の「定価」だったのです。
新築住宅の固定資産税の減額(一般の戸建てで3年度分・建物分1/2・120㎡相当分まで等)は法令に基づく制度ですが、期間が終われば自動的に本来の税額に戻ります。事前の「値上げのお知らせ」は来ません。入居初年度の税額を見て「固定資産税はこれくらい」と家計を組むと、私と同じ二度見をすることになります。適用要件・期間・対象は住宅の種類や時期により異なるため、必ず公的情報・自治体でご確認ください。
※制度の適用要件・期間は住宅の種類・新築時期により異なります。著者宅は8年前の新築時点の制度に基づくもので、現行制度と細部が異なる場合があります。
では、その「定価」を払い始めてからの4年間はどうだったのか。8年分をまとめて開示します。
| 年度 | 年額(概算) | 何があったか |
|---|---|---|
| 1年目 | 約13万円 | 新築の軽減あり(建物分1/2) |
| 2年目 | 約13万円 | 軽減あり・ほぼ横ばい |
| 3年目 | 約13.5万円 | 軽減の最終年(と知らずに過ごす) |
| 4年目 | 約19万円 | 軽減終了。+約5.5万円(約1.4倍)で二度見 |
| 5年目 | 約18.5万円 | 建物評価の経年減で微減 |
| 6年目 | 約18万円 | 3年ごとの評価替えを挟み微減 |
| 7年目 | 約18万円 | ほぼ横ばい |
| 8年目 | 約17.5万円 | 微減。それでも軽減時代より約4万円高い |
| 8年累計 | 約130〜135万円規模 | 月換算で約1.4万円 |
※いずれも著者宅(埼玉県内・土地3,000万・建物2,250万で購入・都市計画税込み)の記憶に基づく概算の一例です。固定資産税は自治体・固定資産税評価額・土地建物の面積や条件・税率・都市計画税の有無で大きく変動します。ご自身の概算は自治体・専門家にご確認ください。
表をよく見ると、この税金には3つの顔があることが分かります。1〜3年目の「軽減で安い顔」、4年目の「跳ね上がる顔」、そして5年目以降の「少しずつ下がる顔」。最後の微減は、建物の固定資産税評価額が経年で下がっていくため、そして評価額は3年に1度の「評価替え」で見直されるためです(前掲の総務省資料参照。土地は地価により上下します)。つまり、跳ねた後は放っておけば緩やかに軽くなる——ただし土地の分は下げ止まり、ゼロには決してなりません。この請求は、家がある限り続きます。
4年目の食卓で2枚の通知書を見比べたとき、私が学んだことをそのまま書きます。固定資産税の通知書は、大きく「土地」と「建物」の2つの行でできています。そして、購入価格がそのまま課税されるわけではありません。課税のもとになる固定資産税評価額は、購入価格より低いのが一般的です——建物はおおむね建築費の5〜6割程度、土地は時価の7割前後が目安とよく言われます(あくまで一般論で、物件により異なります)。さらに住宅の建つ土地には「住宅用地の特例」という別の軽減が土地側にかかっています(前掲・東京都主税局の解説参照)。うちの通知書の概算を、乱暴に2行へ丸めるとこうなります。
| 行 | 1〜3年目(軽減あり) | 4年目以降(軽減終了) |
|---|---|---|
| 土地の分 | 年約6万円 | 年約6万円(ほぼ変わらず) |
| 建物の分 | 年約7万〜7.5万円(半額中) | 年約12.5万〜13万円(定価に復帰)→以降、経年で微減 |
※著者宅の通知書の記憶に基づく概算を大きく丸めた一例です(都市計画税込み・端数調整あり)。実際の内訳・計算は自治体の課税明細をご確認ください。
跳ねた約5.5万円の正体は、この建物の行の「半額」が消えたことでした。土地の行は8年間ほぼ動いていません。住宅用地の特例は(住宅が建っている限り)期限がないからです。一方、建物の半額は3年で終わる。同じ「軽減」という言葉でも、賞味期限のあるものとないものが混ざっている——通知書を3年間眺めていながら、私はそれを跳ねられてから知りました。2枚の通知書を並べたあの朝、理解が追いついた瞬間に背中がすっと冷えたのを覚えています。怖かったのは5.5万円そのものではなく、「これを知らずに、残り30年の家計を組んでいた」という事実のほうでした。
8年前の私にとって、固定資産税は予算表の中の「月1万円ちょっと」という丸めた1行でした。8年後の答え合わせは、累計約130〜135万円規模・月換算で約1.4万円。奇しくも、借り換え後のローン返済(月13.4万円・Vol.56)に対して、気づかぬうちに“14ヶ月目の支払い”がもう1本走っていたような規模感です。しかも、この1本にはVol.56のような「攻め」も、Vol.58のような「守り」も通用しません。8年書いてきたお金の話の中で、唯一、工夫の余地がゼロだった出費——それが固定資産税でした。
それでも、と8年目の私は思います。この税金を理由に家を諦めるべきだった、とは思いません。知らなかったことが問題だったのであって、知っていれば普通に組み込める、予測可能な出費だからです。実際、4年目以降のうちの税額は、跳ねた後は静かに微減しており、二度見するような出来事は一度も起きていません。恐怖の正体は金額ではなく、不意打ちでした。だからこれから建てる人には、金額ではなく「不意打ちを消す手順」を持ち帰ってほしいのです。
私の失敗は、ローンは0.01%まで比べたのに、税金は「初年度の一言」を写しただけだったこと。複数社から資料を取り寄せて資金計画を並べると、「税金・維持費をどこまで説明してくれる会社か」自体が比較できます。質問リストの先頭に「軽減終了後の固定資産税の概算」を入れるのがおすすめです。※本記事は特定サービスの利用を推奨するものではありません。
「断れない請求」は固定資産税だけではなく、保険・メンテ費と束になって毎年やってきます。ローンの月額だけでなく、税金・維持費を足した“本当の月額”で無理がないか、第三者に見てもらってから契約する——8年前の私に一番足りなかった工程です。※本記事は特定サービスの利用を推奨するものではありません。
本記事は、著者個人の実体験に基づく一般情報であり、税務アドバイスではありません。特定の判断・行動を推奨するものでもありません。
記事中の金額(年約13万〜13.5万円・4年目約19万円・+約5.5万円・8年累計約130〜135万円規模・土地分約6万円/建物分約7万〜13万円等)は、いずれも著者宅(埼玉県内・土地3,000万・建物2,250万で購入・都市計画税込み)の記憶に基づく概算の一例です。納税通知書の実データを集計したものではなく、端数は大きく丸めています。固定資産税・都市計画税は、自治体・固定資産税評価額・土地建物の面積・住宅の種類・新築時期の制度により大きく異なります。
新築住宅の減額措置(3年間・建物分1/2等)・住宅用地の特例・評価替えに関する記述は、総務省・東京都主税局の公開情報に基づく一般的な制度の説明であり、適用要件・期間は物件と時期により異なります。ご自身の税額・軽減の適用については、お住まいの自治体(資産税担当課)または税理士等の専門家に必ずご確認ください。
固定資産税評価額と購入価格の関係(建物5〜6割・土地7割前後等)は一般に言われる目安であり、すべての物件に当てはまるものではありません。
ここまで読んでくださってありがとうございました。二度見した朝も、質問をひとつサボった過去も、数字ごと正直に書きました。それでも8年住んで「この家を建てたこと自体」を後悔した年は一度もありません。その土台をつくってくれたのが、一緒に資金計画から付き合ってくれた富士住建でした。これから建てるあなたの選択肢の一つになればと、最後に紹介させてください。
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